ひげを吹く

 中国語で怒りを表現するときの言葉として“吹胡子瞪眼”というものがあります。“瞪眼”(目をむく)のはわかりますが、“吹胡子”(ひげを吹く)は日本人にはなじみがないかもしれません。昔の中国の「老先生」は「ひげ」をたくわえていて、怒り心頭に発してその「ひげ」まで吹き動かす、ということなのです。日本語ならばさしずめ「鼻息を荒くする」ということになるでしょう。一種のボディーランゲージ(“体态语”)になりますが、このボディーランゲージは、民族によって異なります。例えば、相手の話に同意するとき(= Yes)は頭を「縦」に振り、同意できないとき(= No)は「横」に振るのは、世界のどの民族でも共通のように思われます。でも、ブルガリアやネパール、あるいは中国の少数民族であるワ族では、逆になるそうです。
 中国ではレストランに行ってテーブルを指でたたくことがあります。これは別にウェートレスを呼んでいるわけではありません。“谢谢”(ありがとう)の意味なのです。人差し指で頬(ほお)をなぞるしぐさは“羞人!”(恥知らず!)ということです。親指を立てる(“竖大拇指”)のは“最好!”(一番)、“顶好!”(最高)、“了不起!”(すごい)という意味ですし、小指を立てれば(“竖小指”)、その逆に「最低」ということになります。日本とは違う意味のものもありますね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
内田慶市

内田慶市関西大学外国語学部教授

投稿者プロフィール

福井生まれ。現在、関西大学外国語学部で教鞭をとる。専攻は「中国語学」。この10数年は特に、「近代における『西学東漸』と言語文化接触」を主な研究テーマとし、さらには、新たな学問体系である「文化交渉学」の確立を目指して研鑽中
パソコンは約25年前に、NEC9801VXIIを使い始め、その後、DOS/Vから「Mac命」に。Mao's Home Page

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

ブログアンテナ

[wp-rss-aggregator limit='5' thumbnails='no' excerpts='no']

Twitter

ピックアップ記事

連載一覧

  1. 【連載】実戦の中国語コミュニケーション

  2. 【連載】○○から読み取る!中国のc文化—中国語とガラクタと私

  3. 【連載】15分チャイニーズ

  4. 【連載】中国語医療通訳トレーニング

  5. 【リレー連載】私の教科書作り

  6. 【連載】炒冷饭

  7. 【連載】中国人である私から見た日本

  8. 【連載】小紅のなるほど中国

  9. 【連載】プチIT中国語学習

  10. 【連載】すり込みファイブ

投稿の全記事数: 884件

こんな記事はいかが? 【動画】街角生録-聞...

ページ上部へ戻る