第5回 床屋さん――日本人家族のとある日常in上海

先週末に旦那と息子が髪の毛を切りに行くというので、一番下の娘も連れて一緒に付いていきました。

思い返せば上海に来たばかりの頃、旦那が地元で床屋さんを探さないとと言って上海の日本人向けのフリーペーパーなどに紹介されている美容院を調べたことがありました。

旦那も中国語がまったく喋れないので日本語が通じるところでないと無理、と言いながら上海にある日本人が経営している美容院の広告をいろいろ見ていました。
しかしまずどこも場所が遠い。せっかくの週末が一日潰れてしまうのは嫌なので、わざわざバスや電車で行くような場所は避けたい、というのが旦那の要望でした。

そして日本語が通じる美容院はとにかく料金が高い!というよりも、日本と同じぐらいの値段。現地の方たちの平均月収を考えると、明らかに高いです。カットと洗髪で300元とか400元とか。

では地元の人たちはどんなところで切っているんだろう、と旦那と話しながら街を散策しました。
道端の花壇のへりに座ってバリカンで切っている人もいれば(恐らくこれも散髪屋さん?)、営業してるのかどうかもわからないような理髪店もあり、はたまた綺麗な美容院もあり。

これはもう勇気を出して入ってみるしかない!ということで、高かったらどうしよう…、でも勉強と思って一回入ってみよう、といって家から歩いてすぐのお店に飛び込みました。
それ以来、旦那はずっとここにお世話になっています。自分も髪を切るときはここに行っています。

『嘉卓造型护肤SPA 水城路店』

客層は男性も女性も子供も同じくらいの割合。でもこの日はなぜか子供のお客さんがたくさんいました。

うちの子供たちは長男がつい一ヶ月前に上海の床屋さんデビューを果たしましたが、他の3人はまだビビって行けていません。言葉が通じないことがやはり不安のようです。
では誰が子供たちの髪を切っているかって? はい、自分です。笑

息子2人は日本にいた頃に野球をやっていて、家のバリカンで坊主にするのが日課でした。
娘2人も美容院に定期的に通うような女子でもなく、なのでうちの子供たちはみな日頃から美容院とはあまり縁がないと言えばないんです。その上言葉の壁が重なって、なおさら遠い存在になってしまっているようです。

ちなみに、日本から持ってきたバリカンは電圧が違うため使えず、こちらにきてからタオバオで新しいバリカンを買いました。全く問題なく使えています。

さてさてそれではさっそく美容院での流れですが、今日は息子を使ってご紹介させていただきます。

まずマッサージから始まります。可愛いお姉さんが1人付いて、10分から15分くらいかけてじっくり肩から首、腕、指までマッサージしてくれます。

そして最後は綿棒のわたを細〜くしたもので耳かきをしてくれます。

ふと横を見ると、旦那が一生懸命携帯電話の翻訳アプリを使って美容師さんになにか伝えようとしていました。
翻訳アプリは本当に必需品ですね。でもこのせいで言語習得の必要性が低くなっているのも事実ですね笑

こちらの散髪はやたらとバリカンを使う、と主人がよく言っていましたが、やはり息子の美容師さんもバリカンとくしでバサバサ刈っていました。この美容院特有かもしれません。ここしか知らないので『こちらの』という表現は正しくないですね。

中国の美容院に行って言葉が通じないことで一番恐れていたこと、それは両サイドを刈られること。
こちらで流行っているのでしょうか。街ですれ違う男性の髪型を見ていると、結構な割合で両サイドがグッと刈り上がっているんです。そしてトップが長い。
もちろんそうでない方達もたくさんいるのですが、特に若い子達にはそんな傾向があるように思います。

半年くらい前、旦那が美容院から戻るなり『やられた〜〜。もみあげバスっといかれた』と悔しそうにしていたことがありました。正直、全く自分が見てもいつもと違いがわからなかったので、そんな気にするようなことでもないと一喝し、話は終わりました。

しかしそれから二ヶ月くらい経った頃、美容院に行った旦那が『とうとうやっちゃった…』と相当落ち込んだ様子で帰宅しました。
横をズバッと刈られ、まさにうちらが日ごろ呼んでいる『ザ・中国カット』になっていました。

それからというもの、旦那が説明できないのがいけないのですが、毎回中国カットになって帰ってきます。
恐らく定番になってしまったようです。
旦那も、言えないんだから仕方ないと開き直って諦めていました。

しかしこの日、自分がどうにか身振り手振り英語で説明しながら旦那を担当してくださっていた美容師さんに、トップをもっと短くして欲しいと伝えました。
するとちゃんと希望通りの髪型になりました!
もっと早くから伝えればよかったのにと思いましたが、旦那にしてみれば、せっかくやってくださっているのにいちいち文句を言うようで申し訳ないのと思ったようです。

話を息子に戻しますが、息子は視力が0.1もなく、眼鏡をつけないと数センチ前のものも見えないような状態です。
今回、髪を切ってもらっている間眼鏡を外していて何も見えていなかったようです。

いい感じで中国カットになっていますね笑
息子的には、これはこれで気に入ったようです。

そして料金。
マッサージ、最初と最後のシャンプー合計2回、それからカットでなんと1人56元!!
安い!安すぎます!

自分が行っても同じく56元です。女性のショートカットとなるとだいぶ丁寧にやってくださるのですが、それでも同じくマッサージ込みで56元。

ビックリな安さです。

そしてこの日の帰り、子供たちを呼んでみんなで近くの『東北人』というお店で夜ご飯を食べました。

東北地方の料理といえば水餃子が有名です。こちらは韮餃子(26元)。

そしてこれ、『手工草帽餅』一枚12元。チヂミに似ていますが焼きたてはパリパリしています。

青島ビールもサントリーも12元。サントリーも中国で作られています。

家族6人で食事して合計347元。

ちなみに入り口にあるこの飾りはなんの意味があるんだろう…。

帰りにCocoに寄ってタピオカを買って帰りました。タピオカミルクティーのLサイズは12元です。

中国語が喋れたらどんなにいいだろうと思います。
食事中、お醤油を頼んだつもりだったのですが、きたのはウスターソースのような調味料でした。「これでいいよね」といって諦めました。本当は持ち帰り用の容器をもらいたかったのですが、言い方がわからずビニール袋になってしまいました。トホホホ…

美容院でもレストランでも言葉が喋れたらお店の方達といろんな会話ができるのに、と思うと本当に残念です。
少しずつでも頑張って中国語勉強していこうと思います!

それでは次回もお楽しみに。

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東山志帆上海交通大学外国語学院博士課程

投稿者プロフィール

 現在、上海交通大学外国語学院博士課程に在籍。研究分野は多文化的アイデンティティー、異文化への順応、教育機関における多文化的アイデンティティーを持つ児童生徒学生たちの脆弱性、異文化理解教育、教員教育、日中間の更なる相互理解など。2018年4月に夫の転勤に伴い、17歳、15歳、13歳、7歳の子供たちと共に上海に移住。中国に来る以前にカナダでの育児経験もあり、著者自身学生時代をカナダで過ごす。日本在住中は塾や公立中学校の英語科非常勤講師としてこれまで約15年間にわたり教育に携わってきた。日本社会、特に教育機関における帰国子女や今後日本でさらに増えるであろう海外からの留学生や移民の子供たちに対する更なる理解やサポートの充実化、日中の相互理解に向けた取り組みや双方の留学生交流の促進などが現在の主な研究テーマ。

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