落語DE中国語 第2幕

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さて、中国人の大らかさに触れ、中国語を学ぼうと思ったよしが、横丁のご隠居に中国語を楽して安上がりにマスターする方法を相談し、ご隠居は落語が役に立つといい、それも『ビッグデータ』なるものが役に立つというのですが、具体的にはどうなるのでしょう。

●「噺家にはそれまでぎょうさん見聞きしてきた『ビッグデータ』があって、それがあるさかいに新しい噺を師匠に稽古をつけてもらうのに三遍だけで覚える。っちゅう話はわかったんですが、それを中国語にあてはめるとどうゆうことになるんでっしゃろ。」
○「それをゆう前に、おまはん、噺家になるときに師匠のところに修行しに行ったやろうが、それは通いかそれとも住み込みか?」
●「わたいら住み込みでした。三年間の間、師匠のお宅で寝泊まりして、朝から晩まで師匠につきっきりでしたわ。掃除洗濯それに買い物や子守もしますけれども、師匠について寄席の楽屋に出入りするし、なんちゅうかその落語以外でもぎょうさん教えてもらいましたわ。」
○「そうゆうのも噺家というものの基礎になってる『ビッグデータ』なんやろな、それがあるさかいに噺以外でも、呼吸というか、噺家としての生き方というものが身につくんやろな。」
●「そうゆうたら噺家になって最初に稽古したんわ、叩きと呼ばれる『東の旅発端』ちゅうもんですけど、これはしぇべることより間(ま)。つまりしゃべらない、なにもゆえへんものが大切やいいますわ。」
○「そうやろ?『大事なものは見えない』っちゅうて星の王子さまのキツネもゆうてるがな。そやから中国語も同じで、目に見えへんもんを大切に思わなあかんちゅうことやな。」
●「目に見えへんものがね。そうゆうもんなんですかね。」
○「そうゆうもんなんやな、本人にはわからへんけれど芸の道はちゃ~としたあるんやな。」
●「中国語も芸ですか?」
○「そう思てるほうがええやろな。」
●「ほたらなんですか?中国語をマスターしよう思たら、中国語の会話の海の中に入らなあかんちゅうことですか?」
○「カンがええな。そうやがな、中国語、それも話し言葉の中にどっぷり浸かるのが一番ええわな。」
●「とゆうと留学せなあきまへんか?」
○「まあ、できたらそれがええけど、わしなんかは留学せずに、日本にいて中国語をマスターした口やけどな。」
●「どうしはりました?」
○「そらおまえ、朝から晩まで、中国語三昧(ざんまい)っちゅうやつやな。特に力をいれたんは、中国語の漫才、相声やな。」
●「中国にも漫才がありますか?落語はおまへんか?」
○「一人漫才のようなものがあるんやが、これはどちらかとゆうと講談のようなもんやな。会話をマスターするんやったら、掛け合い漫才を一人でする。ちょうど落語のようにするんやな。」
●「やっぱり間(ま)っちゅうもんが大切ですか?」
○「そうやな。」
●「呼吸というか、リズムというか、そういう目に見えへんものが大切っちゅうわけですな?」
○「その通りや。」
●「どれぐらい覚えたらええでっしゃろ?」
○「それも落語のことを考えたらわかるゆうもんやな。前座と呼ばれるもんから、東京では二つ目と呼ばれるものになるにはどれぐらいの噺ができなあかん?」
●「立川流では二つ目昇進で50席プラス都々逸・長唄・かっぽれなどの歌舞音曲、真打昇進には、落語100席と歌舞音曲やと聞いてます。」
○「二つ目。つまり噺家やと認められるのは50席の落語ができなあかん。一席の落語がだいたい20分から30分。これが50席となると1,000分から1,500分。16時間から25時間ぐらいはしゃべりっぱなしの量を『ビッグデータ』として持ってるっちゅうわけやな。」
●「ひえ~そんなぎょうさん持ってましたかわたい。全然しりまへんでしたわ。」
○「そやから『大事なもんは目には見えん』ちゅうんや。」
●「自分では全然きぃつきませんでしたが、考えてみたら、中国語もそれだけの量を『ビッグデータ』として持ってたら話せますわな。」
○「そうやな、おおかた一日中、中国語だけで、それも一人二役で間(ま)もしっかりと演じ切ることができるんやったらたいていのことは話せるわな。」
●「そうやったんや、それで枝雀師匠は英語落語で英会話ができるようになりはったんや。」
○「枝雀師匠はアクション英語っちゅうて、身体を動かすこと強調してはったけれどな。」
●「そうか、外国語を話すっちゅうんは、全身運動なんや~」
○「そう思た方がええわな。」
●「わたいはどうしても学校で英語を学んだときのことを思い出しますわ。ちゃんと机に座って、先生が黒板に書きはることをノートに写して。」
○「それで話せるようになったか?」
●「いいや、知識はぎょうさんありますけど、外人さんの前に行ったらもうあきまへんわ。」
○「そや、そうならへんためにも…」
●「そうならへんためには、会話を中心とした中国語をできるだけ見たり聞いたりしたらええですね。おおきに。これでもうできますわ。ほな失礼します。」
○「ちょっと待ちぃな、どうするつもりやなこれ、ちょっと待ちなはれ。」
●「何ですねん?」
○「いや、これからどうするつもりやゆうてんねん。」
●「そんなもん決まってまんがな。本屋へ行って、会話の多いCD付きのテキストを買うてきてそれを朝から晩まで聞いて、それを覚えますねん。それで『ビッグデータ』をこさえて中国語が話せるようになりますねん。」
○「いや待ちぃな、他にも話があるねん。ちょっと、とゆうてんのに出て行きよった。まあ、困ったらまた来るやろ。」


第2幕へ続く

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山岡 義則

山岡 義則

投稿者プロフィール

中国語との付き合いは1979年から。
関西大学で中国語をマスターし、その後中国ビジネスの世界へ。
モノづくりを中心に日中間で活動。
日本人がどうやったら効果的に中国語をマスターできるかを追いかけています。

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