落語DE中国語 第1幕

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「中国語学習に落語が役に立つ。」

そんなことを思うようになっています。
多くの中国語学習者が「話せない」とおっしゃるのですが、中国語を話せるようになるコツが落語にはあるように思います。
これから三回に分けて、落語DE中国語と題した小噺(こばなし)、いえ、コラムのようなものを書いてまいりますのでお付き合い下さいませ。

噺家のよしが横町のご隠居、甚兵衛さんのところへ飛び込んでまいります。

●よし:「こんにちは~」
○横町の甚兵衛さん:「おぉ、誰やと思たらよしやないか、久しぶりやないか、どうしてたんや?」
●「ちょっと、中国に行ってました。」
○「中国?岡山とか広島の中国地方か?」
●「違いますがな、中華人民共和国の中国ですがな。」
○「ほお!それはまたどういう風の吹き回しか知らんが、たいしたもんやな。それで中国はどうやった?」
●「広いですな、ものすごく広い。土地も広いけど人のこう、なんちゅうか心も広い。」
○「そうやな、それが大陸的とゆうもんやろな。」
●「それでね、わたいも中国語を学んで、中国人と話せるようになりたい思て、今日は、その相談で来ましたんや。」
○「それはそれは私のところに相談しに来ていただけるとはありがたいこっちゃ、それで相談の中身はなんや?」
●「できるだけ楽して、安上りに中国語をマスターする方法をお聞きしたいと思うてね。」
○「まあそうやわな。誰でもそう思う。」
●「そうでっしゃろ?どこかの中国語スクールへ行ったらええというのはわかるんですが、学費もバカになれへんし、第一、レッスンちゅうもんを受けるのが苦痛でね。」
○「ほんまの外国語学習ちゅうのはそんなもんやないんやが、どうも学校での授業、それも英語の授業で苦労する人が多いさかいにそう思う人が多いようやな。」
●「そうでんがな、一生懸命単語や文を覚えてでっせ、それでテストを受けて点数とられへん。あんな辛いもんあらしませんでぇ。」
○「まあ学校でのその体験は聞くも涙、話すも涙やな。そやけどおまはん、落語はできるわな?」
●「まあ、噺家ですよってに、落語はできますが、それが何か?」
○「おまはん、どうやって落語ができるようになった?」
●「そりゃあとことん見たり聞いたりしましたがな。好きな落語、覚えたい落語、自分で演ってみたい落語は文字にしたり、録音やビデオを何回も聞いたり見たりしましたがな。」
○「それが中国語を学ぶときにも役に立つっちゅうこっちゃ。」
●「といいますと?」
○「わからんやっちゃな、落語を覚えて、高座で演じるようになる。それをそのまま中国語でもするんや。」
●「中国語スクールに行かず?」
○「まあ、お金があるんやったら中国語スクールに行ったらええけど、安うあげたいんやろ?それにやで、スクールに行っても教えてもらおうなんてことを思っとたらあかんで。」
●「といいますと?」
○「これも落語で考えたらわかると思うけど、師匠について、一から十まで教えてもらおうなんて思てたらどうや?」
●「そんなに丁寧にしてくれる師匠はいてないと思うし、だいたい、あの『三遍稽古』やないと緊張感があらしまへんからあかんのと違いますか?」
○「『三遍稽古』。師匠と面と向かって座って、師匠が目の前で一席の落語を三回演じてもらって覚える。っちゅうやっちゃな。今では録音もさせてくれはる師匠もおられるようやが、やっぱりライブに限るわな。」
●「そうそう、それで全神経をば集中させて覚えて、それを繰(く)る。歩きながら、電車に乗りながらブツブツブツブツ落語をするわけですわな。」
○「そうや、それで一席の落語がだいたい20分から30分。その間、台本を見ずに落語を演じることができるっちゅうわけやな。」
●「ほたらなんですか?中国語も20分ないしは30分ぐらいの会話文をまる覚えしたら話せるようになるっちゅうことでっか?」
○「まあ、簡単にゆうたらそういうことや、けど、落語を演じるというのはただ、覚えたことを話せたらええんかいな?」
●「そんなことおまへんがな、上下(かみしも)を分けて色んな人を演じなあかんし、感情も込めなあかん。言葉以外にも身振り手振りもあるし、目に見えんもんがぎょうさんありますがな。言葉だけやったらあんた、棒読みになってもうて、おもろないですがな。」
○「そうゆうこっちゃ、先ず言葉を覚える。っちゅうのは最低限必要やが、そこから先があるっちゅうことやな。ようわかっとるがな。ところでおまはん、さっきの『三遍稽古』やけど、普通の人がいきなり師匠の前へ出て、『三遍稽古』してもろて、それで噺(はなし)ができるようになるか?」
●「それは無理ですがな、わたいら噺家かて、そんな三遍だけゆうんは辛いのに、素人さんがたった三編で覚えられるわけありませんやんか。」
○「そや、ほしたらなんで噺家は三遍で覚えられるんやと思う?」
●「それは噺家はそれまでにぎょうさんの落語を見たり聞いたりしてまんがな。そういう下地があるさかいに三編でもなんとか覚えられるんですわ。」
○「そいゆうこっちゃ、ぎょうさん見聞きして、ゆうたら身体に染み込んでるものがあるわけやな、それがあるさかいにパターンちゅうか、目に見えんものを含めて知らず知らずに身についてるわけやな。コンピューターでたとえたら、『ビッグデータ』ゆうやっちゃ。」
●「なんですか?その『ビッグデータ』ゆうんは。」
○「Wikipediaにはこう書いたある。『ビッグデータ(英: big data)とは、市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑な データ集合の集積物を表す用語である。その技術的な課題には収集、取捨選択、保管、検索、共有、転送、解析、可視化が含まれる。大規模データ集合の傾向をつかむことは、関連データの1集合の分析から得られる付加的情報を、別の同じデータ量を持つ小規模データ集合と比較することにより行われ、「ビジネスの傾向の発見、研究の品質決定、疾病予防、 法的引用のリンク 、犯罪防止、リアルタイムの道路交通状況判断」との相関の発見が可能になる』とな。」
●「あきまへんわ、さっぱりわからしまへん。」
○「簡単にゆうたら、想像できんぐらい、気の遠なるほどぎょうさんのデータ、まあゆうたら情報やな、これを活用することでこれまでわからんかったことがわかる。ゆう意味やな。」
●「はあ。」
○「まだわからんか、落語でゆうたら、さっき、おまはんがゆうた、噺家がはっきりとは覚えてないけど、ぎょうさん見聞きした落語があって、それがあるから落語の傾向っちゅうか、パターンが身体でわかってるからたった三編でも噺が覚えられるゆうわけやな。」
●「なんやわけわかりまへんけど『ビッグデータ』ゆうもんはすごいもんなんですな。」
○「そうや、とにかくすごいもんや、そのすごいもんを身につけるのが一番大切やっちゅう話や。」


第2幕へ続く

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山岡 義則

山岡 義則

投稿者プロフィール

中国語との付き合いは1979年から。
関西大学で中国語をマスターし、その後中国ビジネスの世界へ。
モノづくりを中心に日中間で活動。
日本人がどうやったら効果的に中国語をマスターできるかを追いかけています。

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