中国語Q&A:-nと-ngは違う音だと習いましたが、両方とも「ん」にしか聞こえません!

  • 2014/5/14
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Q:-nと-ngは違う音だと習いましたが、両方とも「ん」にしか聞こえません!

A:はい、日本語を母語とする人の耳で聞けばそう聞こえるのは当然です。
日本語の「ん」は実は1種類ではありません。
天王寺(てんのうじ)の「ん」:n、舌の先が上の歯の裏に当たって息が鼻に抜ける。
関空(かんくう)の「ん」:ng、舌の先は上がらず舌の根元がもりあがって息が鼻に抜ける。
難波(なんば)の「ん」:m、唇が閉じて息が鼻に抜ける。
この3つの「ん」はそれぞれ異なる出し方をしている音ですが、日本語では「ん」としてまとめていてその違いを聞き分けません。

一方、中国語では-nと-ngは聞き分けて別の音として扱います。
(例)班bān(クラス)
(例)帮bāng(助ける)
-mで終わる音節は普通话(現代中国語の共通語)にはありません。

ある言語を母語としているということは、その言語に必要な聞き分けしかしないようにtune-upされた耳を持っているということです。日本語を母語としてるということは、耳が日本語仕様になっていますから、-nと-ngの違いは聞き分けるようにはなっていません。中国語を習い始めたということは、日本語仕様の耳に加えて、中国語を聞き分ける耳を訓練で作っていくことになります。

-nと-ngを100%聞き分けできなければ中国語がわからないかと言われればそうではないと思います。実際の会話では前後の文がありますから、それから推測できます。日本語で例を出すと、「あめがふる」と言った時の「あめ」は、よほど特殊な文脈が無い限り「雨」であって「飴」ではないでしょう。同じことが中国語にも言えます。推測を可能にするだけの語彙力があればだいじょうぶです。

発音の面では、後ろにnがつくかngがつくかで前の母音の音色が変化します。但し、pinyinのつづりにはそれは反映されていません。そこを注意しないと間違った発音をしてしまいます。日本語を母語とする人が特に注意が必要なのは以下のペアです。nがつくか、ngがつくかによって、その前の母音の音色が明らかに異なります。
ian(yan)とiang(yang)
enとeng

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[転載元]清原の中文教室 http://www.las.osakafu-u.ac.jp/~kiyohara/cgi-bin/sb/

 

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清原文代

清原文代大阪府立大学高等教育推進機構外国語教育センター准教授

投稿者プロフィール

1960年代に大阪に生まれる。大阪市立大学大学院文学研究科中国文学専攻後期博士課程単位取得退学。大阪女子大学人文社会学部国際文化専攻講師を経て、現職は大阪府立大学高等教育推進機構外国語教育センター教授。専門は中国語教育とeラーニング。初級者向け中国語教材のネット配信も行っている。近著は『改訂版リズムで学ぶ三文字中国語』(アルク、2012年)。
http://www.las.osakafu-u.ac.jp/~kiyohara/

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