宅女炒冷饭:YENとYUANは同じ¥

“炒冷饭”とは冷えたご飯を炒めなおす、つまり二番煎じをすることです。“宅女炒冷饭”は“宅女”(オタクの女性)こと清原文代が過去にTwitterやFacebookの公開投稿で書いた記事を再録するコーナーです。

今回はFacebookに公開投稿として書いた記事に少し手を入れて再録します。

吉岡桂子記者(朝日新聞)の記事「(ザ・コラム)2つの¥ 「愛国」通貨、人民元の行方」の一節。

「Yen(円)とYuan(元)。ロンドン、パリ、フランクフルトの空港で、ルクセンブルクの石畳の街角で。中国の銀行の海外展開につれて、「¥」を人民元としてあらわす看板が増えている。」
「そして、同じかしら文字を持つ二つの「¥」は、この先、どんな歴史をつむぐのだろうか。」

同じ頭文字というより、もとは同じ「圓」の字なのであった。アメリカとオーストラリア、通貨は異なるが、同じドルという単位を使っているように、人民元と日本円は実は同じ単位を使っている。ただ、今は表記方法が異なっている。

例えば人民元の100元札を見てみると、「元」という字はお札には印刷されていない。

中国人民银行2005年版第五套人民币票样100元

書かれているのは“圆”(「圓」の簡体字)である。正式には“圆”yuánなのだが、普段の生活では同音字の“元”yuánで書く(話し言葉では“块”kuàiと言う)。

日本は明治になってから通貨の単位として「圓」を採用した。現在の字体で書けば「円」。

日本銀行金融研究所貨幣博物館 お金に関するFAQ「Q9.円という単位はいつから使われたのですか?」

以下は近代の日本のお札の見本、「圓」と表記されているのが見られる。

日本銀行金融研究所貨幣博物館 日本貨幣史近代

なので、同じ頭文字¥が使われても何の不思議もない。区別するために、JPY、CNYと書かれたりするが、それはアメリカドルとオーストラリアドルを区別するために、USD、AUDと書かれるのと同じことだ。

ちなみに紙幣の図案は国旗と並ぶ国の顔である。どんな人物の肖像が描かれるか、時々の為政者の心理が反映される。

日本の紙幣に登場した人物像は以下のところで見られる。

日本銀行金融研究所貨幣博物館 日本銀行券の肖像

歴代の人民元の見本は以下のところで見られる。

中国人民银行人民币票样

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清原文代

清原文代大阪府立大学高等教育推進機構外国語教育センター准教授

投稿者プロフィール

1960年代に大阪に生まれる。大阪市立大学大学院文学研究科中国文学専攻後期博士課程単位取得退学。大阪女子大学人文社会学部国際文化専攻講師を経て、現職は大阪府立大学高等教育推進機構外国語教育センター教授。専門は中国語教育とeラーニング。初級者向け中国語教材のネット配信も行っている。近著は『改訂版リズムで学ぶ三文字中国語』(アルク、2012年)。
http://www.las.osakafu-u.ac.jp/~kiyohara/

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