“Give and take”――中国人との付き合い方

 昔は、信頼できる中国人の友達を1人持てば、世界中どこでも何不自由なく旅ができる、といわれていました。その友達が次の国にいる友達と連絡を取ってくれ、その次の国ではまたその友達が面倒を見てくれる、という具合に、「友達の友達は皆、友達」、まさに「友達の輪」ができていくからです。中国は「法治」でなく「人治」だともいわれますが、まさに人と人との「関係」がもっとも重要視されるのです。いったん固い絆(きずな)が出来上がれば「とことん」面倒を見てくれるというわけです。私自身もそのような経験を何度もしています。もちろん、それはある場合には「マイナス」の側面もあり、それがいわゆる「コネ社会」ということにもなるのでしょう。
 ただ中国人と付き合うときには、ひとつだけ常に念頭に置いておくことがあります。それは中国人の基本的な「ものの見方・考え方」である「具象性」=「漢字の思想」ともかかわっているのですが、「目に見えるもの」を大切にするということです。「結果が見えてくる」ものでないといけないのです。悪い表現をすれば「打算的」といってもいいでしょう。その典型が“Give and take”です。相手に何かしてもらえば、その見返りが要求されるということです。極めて合理的な考え方です。その意味では「日本的なもの」=「見返りを求めない」「無償」とは相いれない部分があるのです。むしろ欧米的かもしれません。そして、あるいはこれが「大陸的」といわれることの本質なのかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
内田慶市

内田慶市関西大学外国語学部教授

投稿者プロフィール

福井生まれ。現在、関西大学外国語学部で教鞭をとる。専攻は「中国語学」。この10数年は特に、「近代における『西学東漸』と言語文化接触」を主な研究テーマとし、さらには、新たな学問体系である「文化交渉学」の確立を目指して研鑽中
パソコンは約25年前に、NEC9801VXIIを使い始め、その後、DOS/Vから「Mac命」に。Mao's Home Page

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

ブログアンテナ

[wp-rss-aggregator limit='5' thumbnails='no' excerpts='no']

Twitter

ピックアップ記事

連載一覧

  1. 【連載】ウチダ教授の中国語学エッセイ

  2. 【連載】プチIT中国語学習

  3. 【連載】15分チャイニーズ

  4. 【連載】すり込みファイブ

  5. 【連載】中国人である私から見た日本

  6. 【連載】中国の流行語

  7. 【連載】中国語医療通訳トレーニング

  8. 【連載】小陳の中国よもやま話

  9. 中国語教育ワークショップ第3弾|榎本英雄先生と沈国威先生による講演!

  10. 【リレー連載】私の教科書作り

投稿の全記事数: 884件

こんな記事はいかが? 【中国語会話】CS4...

ページ上部へ戻る