おならの話

 「出物腫れ物、所嫌わず」といいますが、日本人と中国人、あるいはアメリカ人では「おなら」に対する感覚が微妙に異なるようです。アメリカに居たときもそうですが、中国でも、書店で隣に立っている人が、突然「ぶぶっ」とおならをしたりするのに出くわします。これこそ、「大陸的」でおおらかというのかもしれません。もちろん日本でも不埒(ふらち)な輩(やから)(?)がいて、込んだ電車の中で急に匂(にお)ってきたりしますが、音まではあまり聞こえてはこないようです。
 中国語で「おならをする」は“放屁”ですが、この言葉は人をののしるときにも使います。中国語は「ののしり言葉の宝庫」といってもいいくらい、さまざまなののしり言葉があります。魯迅は“他妈的”(= Fuck your mother !)という文章も書いたりしています。だいたいは差別的なものが多いのですが、この“放屁!”に関していえば、むしろ日本語のほうが過激かもしれません。日本語なら「くそったれ!」となりますから。
 なお、“王八蛋”(ばか野郎)は中国語の「ののしり言葉」の代表的なものですが、この言葉は日本語にもなっています。忌まわしい過去の遺産の「あんぽんたん」(「兵隊支那語」の一種で、日清戦争時代に伝わったとされています)は、この“王八蛋”から来ているという説もあります。

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内田慶市

内田慶市関西大学外国語学部教授

投稿者プロフィール

福井生まれ。現在、関西大学外国語学部で教鞭をとる。専攻は「中国語学」。この10数年は特に、「近代における『西学東漸』と言語文化接触」を主な研究テーマとし、さらには、新たな学問体系である「文化交渉学」の確立を目指して研鑽中
パソコンは約25年前に、NEC9801VXIIを使い始め、その後、DOS/Vから「Mac命」に。Mao's Home Page

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