中国語の検索を極める―Googleを利用した中国語検索術その1

 この(少しマニアックな)連載では「Google」や「百度」といった検索サイトや「CCL Corpus」といった中国語コーパスや「Emeditor」のようなテキストエディタを使った中国語の用例を検索するための方法を紹介していきます。

 たとえば中国語には「量詞」があります。どの名詞にどの量詞を使えばいいのか、中上級者にとっても難しい時があります。中国語で犬は「狗」ですが、それを表す量詞には”只”と”条”の二つがあります。果たしてどちらを使うことが多いか、インターネット上の用例から調べてみるのもいいでしょう。たとえば、”伞”(かさ)ならば”把”、”桌子”(机)なら”张”を量詞として使いますが、”手机”(携帯電話)や”狗”(犬)の量詞は何でしょうか?このように、普段何気なく使っている単語でも分からない時があります。
 辞書に載っている単語なら辞書を調べてしまえばそれでしまいですが、新しい単語だと辞書に載っていないケースも当然出てきます。それならGoogleを使って調べてみようとしますが、ここで少し困ったことに気づきます。

 ”手机”(携帯)や”狗”(犬)の用例を調べたいのであれば、その単語をそのまま検索ボックスにいれて検索してしまえばそれで目的を達成できますが、その単語で使われる量詞を検索したいとなれば話は変わってきます。なにせ検索しようにも検索するべき単語が分かりません。

 このように、”手机”の量詞をどのように検索したらいいのか、多くの情報の中からどうやって満足のいく検索結果を得ることができるのか、この連載ではそういった点にスポットを当ててみたいと思います。
 
 「一歩上を行く」検索術を覚えましょう。

Google検索

 初回は、Googleを利用して中国語を検索する方法に焦点を当てたいと思います。Google検索ではちょっとした工夫で、単にある特定の単語の用例を調べるだけでなく実に様々な目的に合わせた用例を検索することができます。今回はそこを少し掘り下げてみてみましょう。

 さて、単に中国語を検索といっても、中国語は、簡体字中国語、繁体字中国語の違いがあり、さらに使用地域も中国大陸、台湾、マレーシア、日本、香港、アメリカ・・・といったように多くの地域で使われています。
 
 そこで、今回は地域を限定して検索する方法を見ていきたいと思います。

検索地域を限定する

 通常で日本のGoogleで検索すると、日本語のサイトの検索結果が上位に表示されますが、「簡体字」の文字列を検索した場合は日本語のサイトではあまりヒットせず、中国語のサイトが検索結果として表示されます。ただし日本語と中国語で同じ漢字の場合、たとえば「中国」のような文字列の場合は、必ず日本語のサイトが検索結果上位に表示されます。

何も設定せず検索した場合

何も設定せず検索した場合

ここから日本語のサイトを除外して、中国語で書かれたサイトを検索すするために、検索範囲の設定が必要となります、画面右上にある「歯車マーク」から「検索オプション」を選択します。。

検索オプションを設定する

 ここで選択するポイントは2つあります。1つは「言語」でもう1つは「地域」です。「言語」は中国語(簡体)、中国語(繁体)のいずれかを選び、地域は「中国」「台湾」「香港」「アメリカ」・・・など複数の選択肢から検索したい場所を選びます。今回は中国で使われている簡体字のサイトを検索したいので、中国語(簡体)、中国とします。

検索オプションで検索範囲と言語を指定

検索オプションで検索範囲と言語を指定

 すると、日本語のページが検索結果からなくなり、中国語のサイトが表示されます。

中国のサイトで簡体字中国語で書かれているものに限定して検索

中国のサイトで簡体字中国語で書かれているものに限定して検索

 ここでたとえば言語を中国語(繁体)、地域をアメリカとするとアメリカで中国語繁体字が使われているサイトを、台湾で繁体とすると台湾の繁体字サイトを検索することができます。どこの地域の用例を調べたいかを考え指定していきます。

検索サイトを限定する

 地域だけではなく、さらに細かい指定をすることができ限定するができます。「サイトまたはドメイン」に「gov.cn」のように入力して検索すると、中国の政府関係のサイトに限定して検索できますし、「検索対象の範囲」を指定することで「ページのタイトル」や「ページの本文」に限定することができます。

サイトや検索場所を指定する

サイトや検索場所を指定する

 また次の画像ように検索バーに「allintitle: 结婚 site:gov.cn」のように直接書き込んで検索すれば同じ結果を得ることが出来ます。

この場合、中国の政府関係のサイトで、”结婚”というタイトルが含まれるサイトだけを検索しています。

検索バーに直接検索式を打ち込んで検索範囲を指定することもできます

検索バーに直接検索式を打ち込んで検索範囲を指定する

 それでは最後に例を見ながら実際に検索してみてください。

検索例

意味

结婚 site:gov.cn

中国政府関連サイトだけを検索する。他にも企業だけのサイトを検索するのであれば、site:com.cn。

排行榜 site:www.people.com.cn/

『人民日報』のサイトに限定した検索方法、これで新聞だけを検索することができます。ちなみにこの検索結果では「ランキング」に関する記事のみを検索します。

allintitle:汉语 site:www.people.com.cn
allintitle:对外汉语 site:zhidao.baidu.com

ヘッダーに限定した検索方法。
上は『人民日報』のヘッダーに限定しており、下は『百度知道』のヘッダーに限定して検索しています。

 次回はAND検索やOR検索など基本的なことについて見てみたいと思います。

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HINOYoshihiro

HINOYoshihiro目白大学中国語学科准教授

投稿者プロフィール

目白大学外国語学部中国語学科准教授、 ドワンゴ教育事業本部中国語担当コンサルタント、N高等学校中国語コース担当、 関西大学オープン・リサーチセンター外部研究員。『官話指南』を起点とする近代日本の中国語教材と中国語教育史の研究やICTやコンピュータを利用した中国語の解析について実践的な中国語教育研究も進めておりPodcast「Chinese Station」シリーズや「NetAcademy2中国語コース」の製作を担当。また、中国語学習サイト『中国語学習ジャーナル』を主催。『キクタン中国語会話【入門編】』(アルク、2017)、『改訂版キクタン中国語』シリーズ(アルク、2008-2021)等。

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